シビアな釣りの集中力
「はぁ、シビアだなぁ…」
シーバス釣りの大きなファクターの一つに『時合』というものがある。潮位のタイミングによるそれは日毎にズレる。釣りに行ける時間=時合という絶好のチャンスは明日が一番いいのだが、生憎の雨予報。
釣友との予定を1日早めた結果がこの溜め息まじりのぼやきの原因だった。
まっ、しょうがない。
さかのぼること1時間程前。
やや欠けた月が南に見える。1日の仕事を終えて外に出ると無意識のうちに月を探す習慣がついた。
「今かぁ…」
時刻は20時を過ぎた。すでに相方は到着しているだろう。タイミング的には申し分ない。きっといい思いをしているだろう。
はやる気持ちを抑えつつ家路につく。
夕食の支度をしているであろう家へと急足。夕食は家族と一緒に、出来る限り取る。そのあとの釣りという遊びにでる為の前準備。
今週初めころはサイズを求めてコノシロがベイトになっているポイントを攻めた。
結果は出なかったが、居ることは掴めた。今の時期では珍しく今年は魚が見えている。この時期毎年見失うことになるのだが、今年は釣友と共に追いかけているおかげで情報を共有でき今のところ見失うことにはなってない。
が、今夜はまた違う釣り。サイズは出ないがイージーな釣りを選択していた。先に到着している釣友の希望だが、私も今夜は魚の顔を見たいと思っていた。なんの心配もなく見れると疑わなかった。
バチパターンのシーバス。地元では所謂「鉄板」パターンの一つであまり頭を使わなくても楽しめると認識している。現に先週も先々週も数え切れないほど魚は遊んでくれた。
ポイント到着。釣友フクちゃんの顔を見なくても楽しめていることは予想がつく。案の定、入れ食いと。
いくらイージーとはいえ、彼にはこのパターンにおいては敵わない。微妙なレンジの違い、ルアーの波動の強弱の差が出る釣りである。
1キャスト1バイトか5キャスト1バイトくらいの差だが、彼はもちろん前者だ。
急ぎキャスト開始。いいポイントを譲ってもらい今夜のレンジ、波動を探す。
が、なかなか見つからない。
ここであの台詞となる。時合のタイミングを逃した後だった。
こうなると真逆のシビアな釣りになるのは経験上、目に見えていた。見切りをつけてポイント移動する。
次のポイントへ着くが、すでにここも私の知りうるタイミングはとうに過ぎていた。
時合を外したからといって魚が居なくなる訳ではない。むしろ例年より今年は魚が多いと感じていた。
当たり年のようだ。
ここでもシビアな釣りになっていたが、さすがはフクちゃん、1キャスト1バイトとはいかないものの、コンスタントにバイトを拾っていく。
さて、私はといえば…数では勝てそうにないので一発サイズ狙い。
セイゴサイズが群れるなか、今日一番の魚がどこに付くかを考えていた。
大きく成長する魚は捕食が上手いと感じている。この場合の上手いとは、少ない消費で多く捕食することを場所を知っている。または出来ている魚である。釣り人に釣られないって要素もあるかもですね。食物連鎖の上にいる魚はやはりそういういい場所を心得ていて、力ある大きい魚からそういった場所を抑えていると思う。
魚にも人と同じように遺伝子があり、もって生まれた本能がそれぞれにあるのではないかと。
学術的な根拠はないので真に受けないでください。
そう考えた方が楽しいと思っているだけですので。
そう考えた時、この流れ、この潮位だとどこが一番になるか。
ここと思うピンにルアーを送り込む。
フロントフックを外したメガバス カッター90。
ラインテンションを抜きフリースライド…
ラインの動きを見逃さず、手には当たりを感じてないが、合わせる!
セイゴの中のフッコサイズ。
自分的には満足な魚が出てくれた。
時合を外した時にはどうなるかと思っていたが、魚が見れた満足感を味わいながら一服。
そんな私の横では、相変わらずバンバン掛けまくるフクちゃん。サイズこそ出ないがとにかく釣る。
ここのシーバスにとって天敵だな彼は…
始まりの潮と今夜の本命
「今日は本数勝負ね」
ポイントへ向かいながらの駄弁りタイム。
いつもの釣友と潮のタイミングを考慮してのポイントセレクト。
私自身も久しぶりなポイント。
最後に訪れたのは4.5年前か。その時はシーバスフィッシングを始めたばかりのチームメンバーをここに案内し、本数を数えることも忘れて釣りまくっていた思い出のあるポイント。
所謂『バチ抜け』である。
年により差はあるものの、場所とルアーセレクトさえ間違えなければ、割とイージーなシーバスフィッシングが楽しめる時期です。
私がシーバスフィッシングを始めたいという方を案内するときは、この時期をオススメするほど釣るという楽しみを感じて貰えるいいタイミングである。
とはいえ、いくらイージーと言っても結構腕の差が出るのもこの時期の特徴ではないだろうか。
敢えてサイズ勝負にしなかったのもその辺りを考えてのこと。
私の中ではこのポイントに行く=釣れるという自信があった。
が、長い間訪れてなかった事がやや気になりながら釣友を案内していた。
ポイントに着き準備を始める。二人の釣友もそれぞれの思惑をルアーに込めてのセレクト。
久しぶりのポイントは想像していたより静か。案内した手前、やや不安になる。
まっ、そんな不安は一瞬で消えた。
1投目からヒット&キャッチ。
二人ともやはり上手い。余計な心配だった。
そんなイージーな展開でコンスタントに釣りまくっていたが、そこは慣れた釣友達。さらなる考察をしていた。
レンジ、ルアーセレクト、ヒットポイント、流れ。
それぞれがそれぞれの考察でこの日1番のパターンを探る。
気がつけば、私は最下位…
ダブルヒットあり、連続バラしありと楽しめたのでよしとしよう。
潮位も低くなってきたので、本日の本命ポイントへ移動。この時期活性が上がるのはなにもシーバスだけではない。
本命ポイントは想像以上に静か、魚の生命感も微妙だがここは魚が回ってくるような場所なのでまずはシーバス狙いでキャスト開始。
これまたあっさりヒット&キャッチ。
サイズ的には前の場所同様、それほど大きくはないが夏に向けた魚らしくとても元気。中にはえ?っと驚かせてくれるパワーファイトを見せてくれる個体も。しばらくここでもシーバスに遊んで頂き少し移動。
隣に釣友S。すこし離れたところにもう一人の釣友。
釣友S「アタリないっすね〜」
私「ちょっと早すぎたかね」
ギギギーー!
釣友S「ん?向こうドラグ鳴ってません?」
私「ん?聞こえるね」
離れたところで釣りをしている釣友から聞こえるドラグ音。
私「ドラグ緩いんかな?」
釣友S「どうでしょう。掛かってるみたいですね〜デカイのかな?」
ギギギ、ギギギーー!
呑気な二人をよそに今日1番の魚と絶妙なファイトをしている釣友。
のんびりと歩いて近寄ると、あら?デカイ!!
#10のフックが付いているルアー。
なるほど、慎重なファイトだったのね。
最後はフック一本掛かりではあったが無事キャッチ。
丸々とコンディションのいいシーバス。重量もありそう。無理出来ないフックでの慎重なファイト。
お見事でした。一本フックは折れていた、パワーのあるシーバスとのファイトを釣友の腕が制した。
無事に帰って行くシーバス。
この場所はちょっといいサイズが混ざることがあるポイント。それでもこのシーバスは最大クラスではなかろうか。
緊張感に包まれる魚とのファイトは見ているこちらも楽しい。キャッチできた満足感のお裾分けを頂きストップフィッシング。
やはりこの時期はシーバス数釣りが楽しめる。
シーバスフィッシングを始めたいと思っているそこの貴方!この時期から始めてみませんか?タイミング合えば案内しますよ。
ん?
なんか忘れてる気がするけど、今夜の本命「チヌ」じゃなかったっけ?
朝マズメのお祭り
まだ闇の中、気の合う釣友と三人で地磯に立つ。
三人が揃うのは久しぶり。
その間の話は普段からSNSやLINEで知っているのでそれ程久しぶりな感じがしない。便利な世の中である。
沢山の情報が得られる中、全く情報のない地磯を選ぶ辺りが我々らしい。過去の経験と勘だけでポイントを選ぶ。
がっつり釣りというより旅や宴会でもするようなノリで買い出しし、持ち込む。釣具以外のモノが重いこと重いこと。
最近特に感じるのがそれぞれが釣りの楽しみ方を持っていて、お互いにその楽しみ方を理解し尊重し合える仲になっている。ゆえに多くの情報がなくてもそれぞれがキャストしながら魚を見つける作業を楽しむ。素早く見つけたパターンをすぐに共有でき、実釣に生かす。
こうすることでお互いに魚に出会える。ルアーやタックルを合わせるのではなく、パターンやレンジ、フィーディングポイントを共有してそれぞれのやり方で攻略することで多くのコンタクトを取っていく。
この釣りの正解は一つではないこと。まさにチームプレーと言うべきだろう。
夜が明けてくる。
視覚からの情報量が増え、より細かくキャストを刻む。ファーストバイトまでそれ程時間は掛からなかった。
しかし、乗らない。
弾くと表現されることが多いロッドの硬さによる乗りの悪さがすぐに分かった。すぐにルアーテンションを弱くスローに巻いてくる。
また、乗らない。
さぁ、次はどうする?フックサイズを下げる選択をしてみる。
まだ、乗らない。
今度はどうする?ルアーのテンションが掛からずに引け、尚且つフックサイズが小さい、ミノーからシンペンに変えてみる。
で、ようやく深いバイトが取れた。
すでに釣友達はそれぞれのやり方で魚を掛けている。ルアーやタックルが違えど考え抜いたやり方で答えを出していた。
気づけば全員安打のお祭り騒ぎになっていた。
お土産の分だけキープして磯から降りる。
冷えた体にカップラーメンが染み渡る。実は思っていたより寒かった。日差しが強まることを予想していたのだか、肩すかしにあった。風もやや強かったのもあるが、釣友の一人はライジャケの浮遊テストをしていたみたいで、濡れた体に強い風、日差しも弱いときたら…寒かったでしょうね。
結果的にはベイトはイワシ。
朝マズメの回遊に当たったパターン。
沖のブレイクラインがフィーディングポイント。
レンジはやや深め。
食い気が立つ時間帯ゆえルアーの波動やサイズよりポイントに届くことがキモ。
スピニングタックルの二人と同等の飛距離を出せたロングベイトタックル。ベイトタックルが不利と言われた部分は、もはや過去の話になっていると言える。ルアー自体の性能が上がっている恩恵も大きいが、ベイトは飛距離が…なんて時代はとっくに終わっているのかも知れないよ。
今年のGWもまた記憶に残る楽しい時間となった。
さぁ、次はどこへ行こうかな…
自作ロッドの使用感
完成したGrandBlue 100MH/Bを持って、釣行してきました。二日間、河川と地磯でそれぞれ使ってみた感想は『使える!』です。
まずキャストに関しては、レギュラースローテーパーのしっかりとした曲がりからのスルーが快適。6割程度の力加減で十分な飛距離が出せるのはロングロッドのいいとこですね。
ロッドとしては重たい部類になるとは思うけど、特に気にならなずに投げまくれますね。ロッドのバランス、今の設定でしばらく慣らしてから変えてみようと。
元のルアーウェイトの表示は18〜56g ベイトロッドに変えてもほぼ同じくらいですね。下はもっと軽いルアーでも投げれるといえば投げれるかな。上は40gのジグまでしか投げてないですが、振り切れます。
対岸まで約80m、届いちゃいましたね。
いい事ばかりのようですが、実はちょっと問題も。
マルスズキにて入魂しましたが、その時感じた問題点は、ティップが硬いことによるバイトの乗りが悪いこと。テンションの掛かるミノーでのバイトが乗らないことが連発。
シンペンに変えてラインテンション緩くすることで乗せることが出来ましたが、この辺りは元ジグロッドブランクスらしさを感じましたね。
プラッキングロッドにするにはもう少しティップ柔らかい方がやりやすいかもです。
そのロッドの特性さえ分かっていれば対応するルアーコントロールをするだけなんですけどね。
求めていたしっかり曲がり安心感のあるパワーロッドになりました。次回はプラッキングロッドの部分を追求したブランクス探ししてみようと思います。
ロングベイトロッド、かなりお勧めですよ。
ロッドリビルド〜スレッドコーティング〜
空いた時間に少しずつ進めていた事もあって、結構時間が掛かった。手際よく詰めてやれば2週間ほどで仕上げられるかな。
ゆっくりじっくり作業時間を楽しみながら一つ一つ作り上げていく。かなり気持ちの入ったロッドになりましたね。
不具合や不満な部分が見えても目を瞑るようになってしまいそうですが、そこは次回作につなげるデータとしてしっかり生かしたいです。
ここに来て当初のビジョンからズレていることに気がつきました。ロングベイトロッド、青物用とかヒラ用というのではなく、ロングベイトロッドという事。作っていくうちに対象魚をイメージしすぎてましたね。
ベイトロッドの特徴ってなんでしょう。
使う人それぞれに意見が分かれそうですが、私にとっては『操作性』が一番。力を抜いたキャストで手返しよく、ジャークやトィッチで魚を誘う、アングラー側から攻めるような釣りがベイトタックルらしさかなと思っています。
なので、グリップを更にカット。結果、10fロッドになりました。
オリジナルベイトロッド グランブルー
GrandBlue 100MH/B
length 10フィート
lure 18〜56g
line max PE3号
weight 295g
最後にバランス取り。まずはリールシートの前5cmの所で合わせてみました。
後からいろいろ試してみたいので外せるようにして完成です!なんとかGWには間に合いました。使い倒してみて自分のデータ増やして行ければと思います。