青物のパワーを知ってますか?
溜め息が出るほどの衝撃から、笑いが出てくるほどの高揚。SHORE ROCK GAMEハマりそうだ。
静かな海に潜む…
気がつけば右も左もアングラーで一杯になっていた。地元の方はよくご存知のようだ。チャンスタイムを逃すまいとキャストを繰り返す。ガイドしてくれた釣友からアドバイスが飛ぶ。『釣って欲しい』という気持ちが伝わってくる。
餌となるベイトはイカ、14cmのミノーをスローに巻く。青物相手に早い釣りを想像していただけに、普段のナイトシーバスの様なスローな釣り。ロッドから伝わる振動に集中する。
コッ…
一瞬躊躇ったが、ロッドを振り上げる。
ギギギーー!!
ドラグが聞いたことない音を立てラインが出されていく。
くそっ!グリップエンドを腹に当て耐える体制に入る…
バチン!!
バイトから5秒程の出来事。一気に足元の根のえぐれに入り込まれてしまった。
「デカかったね、まだまだいけるよ!」
私を励ます釣友の声を聞きながら、何も出来なかった悔しさと、未知のパワーへの興奮で手が震えていた。
もう一度ラインシステムを組み直す。おそらくニヤニヤしながら。なぜか笑いが出てくる。ショックリーダーを太いモノに、かなり長めにセット。
笑い顔は消え、キャスト再開。
左隣のアングラーさんがヒット。隣との間隔がそれほど空いてないのでルアーを回収してしばし見守る。
長尺のロッドが弧を描いている。
無事キャッチされた魚体にさらに闘志が湧いてくる。
「来たよ!」
右隣の釣友がヒット。先ほどの方よりさらにロッドが絞り込まれている。ドラグ音は私にも聞こえる。
尻もちをつく釣友。根に入られてラインブレイク。
手強い。
足元の地形を確認する。水深は20m程、立ち位置から少し張り出した瀬の先から一気に落ち込んでいる。
バイトしてくるのはその際、少しでも沖めで掛けれればいいのだが。
ヒットしてるのは私達の付近だけのようだ。ベストポジションに入らせて貰ったからには何としても仕留めたい想いがキャストを繰り返す。
朝日が顔を出した。
鳥が私の目の前を旋回しだす。ルアーを無意識にチェンジ。ルアーサイズを落とす。その一投目で来た!
理想通りの沖めでのヒット。すぐに寄せずに走らせる。強めのドラグにしたはずなのにドンドン出される。
冷静に動きを見ながら巻き取る。寄せれる、そう確信し一気に寄せる。
見えた。水面直下で抵抗を見せる魚体。
下には行かせないとロッドを立てる私。
余力があったのは魚の方だった。
張り出した瀬の奥に消えていく姿を最後にテンションが抜けた。
ククククッ…
楽しいぜ…
この後何度となくバイトはあるがヒットしない。ルアーを突かれるという感じだ。なにかがズレてる。
バイトの数は圧倒的に私の場所がいいようだ。両隣はあれからアタリすらない。
朝日はさらに私達を強く照らしはじめていた。