ただのおじさんは、ただものではなかった!
自営のテイクアウトの店をしている私の店にはいくつか絵本を置いて、待ち時間に子供達が退屈しないようにと妻の気配りがしてある。
ある日、幼稚園児くらいの女の子とお母さん、さらにお婆ちゃんの三人で来店。注文を頂き調理開始。
お客様の顔が見えるオープンキッチン。窓の向こうでは女の子が絵本を読んでとお母さんにせがんでます。これはいつもの光景。
「あーははは!!」
大きな爆笑とともにお腹を抱えて笑いだす親子。さらに傍で見ていたお婆ちゃんも。
調理中、終始笑い転げていた親子。料理をお渡ししての帰り際に、
「また読みにきます」
と、笑顔で手を振る女の子。
店をオープンして以来、ずっとあった絵本。今までは特に気にしていなかっただけなのか、とても不思議な光景でした。
もちろん気になって『ただのおじさん2』を読んでみました。
ただのおじさんのところにいろんなお友達が遊びに来るお話。
カバさんがやってきます。
ぼくのなかにだれかいるんです
いきなり意外な展開で、正直驚きました。シンプルで素朴な文章の中ある意外性。掴まされました。
それからも次々とワニさんやら、ニワトリさんやら、クジラさんやらが遊びにきます。絵本なのでもちろん絵で伝える部分もあるので、ここには書けませんがどれも意外な展開の連続。
サンタさんがきました。「なにかほしいものはあるかね」とサンタさん。
「こどもがほしいです」
サンタさんはどうするでしょう?
「いちにちだけだよ。パパ」
この本は、妻が◯学生の頃に貰った本で数十年前のものです。時代が変わっても童話や絵本は人の心を掴む力があるんだなと少し絵本を見る目が変わった瞬間でした。アングライターという書き手として、なにか教えられた気がします。
早速この本を持ち帰り、最近ちょっとパパを嫌煙気味な小学生の娘に読み聞かせてみました。
「で?意味わからんし」
意味わからんでもラッスンゴレライで笑っとるやないかい!
純粋な娘の心はどこへやら…