そらとぶさかな

アングライター 杉人(すぎんちゅう)の釣り人blog

開拓者への敬意を持つこと

まだ夜が残る海沿いをクルマは走っている。am4:00、夜景の綺麗な長崎の街もこの時間は灯りも少ない。

案内してくれる釣友が運転する助手席から見える暗闇に目を凝らす。

クルマは小道へと入っていき、しばらくして停車。着いた、遠くに水が流れる音、木々がざわつく音、そこにはライトの光さえ吸い込まれてしまうような闇だけ。

さらにここから闇の中を歩く。獣道、木々の隙間をぬって進む。前を歩く釣友との差が開く。腐葉土の匂いの中、滑りそうになる足を堪えるように木を掴む。

ヘッドライトに照らされた木は白いペンキのようなもので塗られている。よく見ると歩くルートには所々に塗られた木がある。暗闇の中での道しるべ。

釣り人の情熱がこの場所を探し出し、通い詰めたおかげで、魚に出逢えるチャンスがある。そんな開拓者を思いながら森を抜けた。

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遠くに街の灯り。風もなく穏やかな海がそこにはあった。ヒラスズキを狙いに来たのなら最悪の天候なのだろうけど、危険な雰囲気のない海は慣れない私にはありがたい。


先行者はいない。釣友の予定通りにベストな場所を私に譲ってくれた。


タックルを準備し、まだ暗い海へ第一投を挨拶代わりに投げ込んだ。